中国のゼロコロナ政策が実質的に終了〜インバウンドの中心である中国からの訪日観光客について、解説と今後の見通し

中国は先日から国内のゼロコロナ政策を緩和していましたが、2023年1月8日(日)からは海外から中国入国に対しての規制も緩和し、実質的なゼロコロナ政策の終了を発表しました。インバウンド需要の本格的な回復は中国が鍵なので、インバウンド業界は回復に向けた見通しが立ってきました。

これまで中国人観光客にとって問題だったのは、海外から中国へ帰国する際、ホテルなどでの5日間の隔離と3日間の自宅隔離が必要で、最長では3週間の隔離が求められていたことです。しかしこのような規制は撤廃されることになりました。帰国時に48時間以内のPCR検査を受け、陰性証明書の提出は継続されますが大きな前進です。今回の発表を受けて、中国での日本行きの飛行機チケットの予約は急増し、旅行会社への問い合わせも多数寄せられている様子です。

しかし、一気にコロナ禍以前と同じというわけにはいきません。中国では先立って行われた国内での大幅な規制緩和によって感染爆発が発生しており、日本政府が強い警戒感を示しています。そして、日本が中国本土から直行便で来た人と、7日以内中国本土に渡航した全ての人に対して入国時検査を2022年12月30日(金)から実施することにしました。政府は臨時的な処置としていますが、実施期間は未定となっています。

また、物理的な問題もあります。コロナ禍で大幅に減少した飛行機のフライト数がほとんど戻っておらず、日本政府は中国とマカオの直行便を増便しないよう要請をしています。入国時検査とフライト数の問題は、すぐには解決できないでしょう。

以上の問題をふまえた今後の見通してして、中国からの観光客の本格回復には3ヶ月程度は必要となりそうです。多くのインバウンド業界の関係者は旧正月(2023年は1月22日(日)から)には、と期待していたと思いますが、間に合いそうもありません。しかし3ヶ月後というのは3月下旬から4月にかけてとなり、インバウンドが盛り上がるお花見シーズンとなります。インバウンド回復は、この時期が目処になりそうです。最盛期の2019年と全く同じ水準まで回復するのは無理ですが、力強い手応えは感じられるでしょう。そして、インバウンドのメインとなる夏休みのバカンスシーズンへと走り出していきます。

この3ヶ月という期間をどう捉えるかは各業界によって異なると思いますが、準備期間としては悪くないと思われます。翻訳や無料Wi-Fi、決済手段などをしっかりと整え、中国人観光客を迎える準備を万全にしておきましょう。ようやく、待ちに待ったその時がやって来そうです。