インバウンドで重要な台湾人と香港人。行きたい都道府県別のランキング発表。所得別・訪日回数別の傾向を調査

台湾人・香港人向けの訪日観光情報サイトとしてNo.1のユニークユーザー数を有する「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を運営する株式会社ジーリーメディアグループが、サイトのユーザーである台湾人・香港人(繁体字中国語圏)4,711名を対象に、Web上で「訪日旅行に関する意識調査」を実施しました。
※出典・転載:ジーリーメディアグループ プレス(http://geelee.co.jp/category/press/

調査背景
JNTO(日本政府観光局)によると、2023年1~2月の訪日外国人数はコロナ前の2019年同時期比で56.2%まで回復しており、なかでも台湾・香港はそれぞれ64.5%(台湾)、81.3%(香港)まで回復しています(*1)。台湾⼈・⾹港⼈(繁体字中国語圏)の訪日客数のうち、8割以上が「2回以上」日本を訪れており、10回以上日本を訪れるハードリピーター率は香港が29.7%、台湾が19.4%他国と比べても高くなっています(*2)。また、旅行者の大半が個人旅行者(FIT)のため、⽇本全国各地に⾜を伸ばしてくれる傾向が強く、地⽅にとって重要なマーケットとなります。そこで、今回はインバウンドブーム再来を目前に、台湾人・香港人訪日客がどこへ行くのかを探るべく、調査が実施されました。

注:中国語の「書き言葉」は大きく分けて2種類あります。台湾や香港で使用されているのは繁体字、中国本土やシンガポールでは簡体字が使用されています。

調査サマリー
日本の県別ランキング人気の旅行先トップ3(総合)は、1位北海道、2位東京、3位京都となりました。

訪日回数別にみると、
・訪日回数0~1回:大阪・東京・北海道
・訪日回数2~9回:北海道・東京・京都
・訪日回数10回以上:北海道・東京・青森
という結果になりました。

リピーターになるほどランキングあがる傾向がある県は、青森をはじめとした東北エリア、四国エリア、新潟、長野。一方リピーターになるほどランキングが下がる傾向がある県は大阪、東京、沖縄、奈良となっています。

また訪⽇経験回数が10回以上のハードリピーターを所得別にみると、北海道・東京・⻘森・京都はいずれの所得層でも人気となり、長野・新潟・秋⽥・⼭形・富⼭は年収が高いほど人気でした。

調査概要
サンプル数: 計4,711名(うち訪日経験10回以上のハードリピーターが2,096名)
調査主体: ジーリーメディアグループ
調査対象: 台湾人香港人
調査方法: 「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」内でのインターネットリサーチ
調査期間: 2023年2月21日(火)~2月28日(火)

全体ランキング(「行きたい都道府県」複数回答)


訪日経験回数別ランキング(「行きたい都道府県」複数回答)
訪日経験回数が少ない(0〜1回)層では、1位は大阪、2位は東京、3位は北海道、4位は京都、5位は沖縄となりました。この旅行先は、首都圏や大都市、また外国人観光客にとって欠かせない京都、さらに人気観光地であり台湾や香港から近い沖縄であり、インバウンド全体で人気のある地域とほぼ一致しています。

一方で、訪日経験回数が10回以上のハードリピーターでは、大阪が5位に下落し、青森が3位にランクインしています。山形(8位)や鹿児島(9位)、秋田(10位)の地方も上位となりました。青森や秋田は台湾や香港からの観光客にとって珍しい雪の降る地域であり、さらに山形市は台湾と友好関係にあります。また、直行便の運行なども影響しているでしょう。

最下位の県でも「訪問したい」と回答している人は、訪日地経験回数0〜1回では1.1%(山口県)、訪日経験回数2〜9回では3.63%(福井県)であるのに対し、訪日経験回数が10回以上の層では5.68%(福井県)と、訪日経験回数が増えると全国に需要の裾野が広がることがわかりました。


訪日10回以上×年収別ランキング(「行きたい都道府県」複数回答)

訪日経験回数が10回以上のハードリピーターを所得別にみると、北海道・東京・青森・京都はいずれの所得層でも3割以上を獲得し、幅広い所得層で安定した人気となっています。

長野県や新潟県は、年収200万円以下の低所得者層ではそれぞれ長野 19位 14.06%、新潟 22位 13.13%であるのに対し、201〜400万円では長野 15位 16.94%、新潟 12位 19.88%、401万円〜600万円では長野 14位 18.72%、新潟 10位 21.4%、年収601万円以上の層では長野 12位 20.55%、新潟10位 21.17%と、収入と比例して人気が上昇しました。

秋田県や山形県、富山県なども同様に年収が上がるにつれて上昇しています。一方、鹿児島県や熊本県、静岡県、愛知県などのように、所得が上がると人気が降下するエリアも散見されました。


台湾人・香港人需要について
ジーリーメディアグループの吉田浩一代表は台湾人・香港人需要について、次のようにコメントしています。

「台湾・香港は、コロナ禍以前から訪日リピート率が世界で最も高い地域で、いわゆる「外国人向け」の情報では物足りなさを感じる人が多かった。去年10月の渡航の再開から半年が経過して、よりニーズの細分化・ニッチ化が進んでいる事が、今回の調査からも明らかになった。 香港も台湾も、一人当たりのGDPではすでに日本を上回っており、彼らの多くが日本旅行に求めるのは「非日常」体験であり、ほかにない価値には出費は厭わない。世界で最も頻繁に訪日する台湾・香港からの来客を魅了するには、高いor安いにかかわらず地域の独自性を活かした観光コンテンツの開発と消費者への魅せ方・伝え方が鍵を握る。」

日本のインバウンドは、水際対策の緩和が実施されてから順調に回復しています。そのなかで、台湾と香港からの観光客は非常に重要であり、今回の調査は非常に参考になるものです。また所得別調査は、「タビマエ」の台湾人や香港人へ宣伝広告を展開するための貴重なマーケティング資料となります。旅行前や旅行中の台湾人・香港人のインバウンド対策を行う際は、積極的に活かしたいデータです。