旅行から見たコロナの影響と宿泊業界の人材確保

株式会社リクルートが、新型コロ ナウイルスの感染拡大から 3 年経った今の、旅行の在り方の変化や雇用動向を発表しました。

国内旅行のあり方、動向について
国内旅行はグループサイズが縮小傾向にあり、コロナ前から既に発生していました。それがコロナの感染拡大によって一気に加速しました。2021年度のじゃらんの宿泊旅行調査では、「夫婦二人での旅行」が27.4%、次いで「一人旅」が20.1%となり、過去最高値となっています。

旅行がより個人化すると、旅行したいという気持ちが「みんなで、大勢で楽しむ」から「私が好きな旅」へと変化していきます。すると、映画や漫画などの聖地巡礼やアドベンチャーツーリズムのように、旅行へ出かけるへードルは低くなり、モチベーションはずっと高まります。コロナ禍を経て「量から質へ」という変化が各観光地や宿泊施設でニーズが高まっているなか、旅行に対して高い付加価値を与えることが必要となってきています。

このような現状において、現在注目されているのがサステナブルツーリズムです。
地域の文化や自然環境に触れながら大切にし、旅行者と観光地の住人、経済がそれぞれ潤うことのできるというものです。このような旅行は、国内を旅行する日本人だけではなく、インバウンドで日本に観光に訪れる外国人観光客も同様に好んでいます。今後は観光資源を活かして、持続可能な地方創生を目指していくことが集客のトレンドになるでしょう。

より難しくなる人材確保
コロナの感染が落ち着き始め、また政府が「全国旅行支援(全国旅行割)」を実施して観光需要を喚起した結果、宿泊業界には客足が戻ってきました。ただ、観光業界だけではなく他の業界も同じように回復し始めています。宿泊業界では2年以上に及ぶコロナ禍で人材を減らしたり採用を控えたため、人材不足に陥りその補充も充分にできず、確保が難しくなっています。

現在、仕事を探している人は条件として「通勤の利便師がない」「転勤がない」「家から近い」といったアクセスを重視しています(※)。この条件では都市部が有利になり、また有名な観光地であれば求職者の関心も高いですが、その他の地域では求職者の関心を引くことが難しくなります。さらに、平均時給も上昇傾向にあるため、募集や雇用維持のコストは厳しいものとなります。

宿泊業界をはじめとして、観光業界は今後のニーズがさらに高まっていきます。需要があるのに人材が不足していることで、受け入れができないケースもすでに出ており、できるだけ早く人材を確保しておくことが重要です。雇用形態を柔軟にし、外国人の採用なども選択肢に入れ、あらゆる方法でお客様の受け入れ体制を整えることが重要でしょう。

※ JBRC[業界別レポート]働く人と職場/業界イメージレポート 2019(ホテル・旅館編)