外国人観光客の重要な移動の足、ジャパン・レイル・パスの大幅値上げが決定。訪日予定外国人へのアンケート調査発表


先日JRグループは、「ジャパン・レール・パス」の大幅な価格改定を発表しました。
ジャパン・レール・パスは、外国人がJRの鉄道が乗り放題になるサービスで、利便性や手頃な価格により多くの外国人観光客が利用しています。日本を旅行する際の、重要な移動の足とも言えるものです。このサービスの価格が10月から上昇することによって、どのような影響が発生するのでしょうか。

最初に、現在の価格と改定後の価格を普通車(大人)用で比較します。

種類原稿価格改定後上昇率
7日間用29,650円50,000円68.6%
14日間用47,250円80,000円69.3%
21日間用60,450円100,000円65.4%


ジャパン・レール・パスは1〜3週間用と3種類ありますが、種類に関わらず概ね70%近くの値上げとなります。外国人観光客はコスパを重視する傾向があり、この値上げ率は日本を旅行予定の外国人に影響を与えそうです。

今回の値上げに関して、エクスポート・ジャパンが訪日予定の外国人1,800人に調査しました。
「70%近い値上げ後もJR Passを利用しますか?」という質問に対し、「絶対に利用しない」が36.1%、「たぶん利用しない」が36.5%となりました。合計すると、72.6%の人が利用しないという否定的な回答をしました。

また、「直近の訪日旅行の際にJR Passを利用しましたか?」という質問には、60.7%が「はい」と答え、24.0%が「いいえ」と回答しています。この結果から、値上げによって利用を控える外国人観光客が増加することが伺えます。

エクスポート・ジャパン調べ
エクスポート・ジャパン調べ

また今回の値上げによって、どのような影響が出るのでしょうか。
移動の手段としては、JR以外の私鉄の利用はもちろんのこと、ローカル・高速バスやレンタカーによる移動が考えられます。ただ、バスの乗り方はバス会社によって違い、レンタカーも自国と日本では交通ルールが異なったりと、不自由になりそうです。また、「車窓」という言葉があるように、電車から眺める景色は旅行の楽しみの一つですが、それも失われてしまいます。

さらに、地方へ足を運ぶ外国人観光客も減少する可能性があります。
JR線が乗り放題のJR Passは、様々な地域へのアクセスの手段です。それが限定されると地方へのアクセスが鈍り、ゴールデンルートや地方空港周辺だけで旅行が完結することもあるでしょう。日本は地域の多様性が外国人観光客から評価されていますが、訪れてくれること自体が減少してしいます。

コロナの沈静化や円安で外国人観光客は増加し、インバウンドは順調に回復しています。今回の値上げが大きな影響を与えず、外国人観光客が日本旅行を引き続き楽しめるような環境づくりが必要になるかもしれません。

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