インバウンド再開 ~カギを握る中国からの訪日外国人~
インバウンドが再開し、業界は勢いつき始め、日本の各地でも受け入れ準備が始まりました。韓国や台湾からは多くの観光客が日本に来てくれそうですが、インバウンド需要の復活について気がかりな点があります。それは、中国からの訪日観光客です。インバウンドの回復に中国は非常に重要な国であり、しっかりと押さえるべきポイントとなっています。
まずは、中国が日本のインバウンドでどれほど重要かを確認していきましょう。
コロナ直前の2019年、訪日外国人の総数はおよそ3,188万人。うち中国からは約959万人でした。中国だけで30%にもなっています。
視点を変えて消費額でみると、全体では約4兆8,000億円を消費してくれていますが、そのうち中国人観光客の消費額は1兆7704億円にのぼっています。これは全体の37%にあたり、ほぼ4割を中国からの訪日外国人で占める結果となりました。しかも、一人当たりの消費額は212,810円であり、これは台湾人の118,288円、韓国人の76,138円を大きく引き離しています。3,188万人の観光客が一人当たりで20万円以上を使ってくれると考える、とその重要性が感じられると思います。まさに、中国からの訪日外国人はお得意様でした。そして、この1兆7704億円がコロナによって消えたのです。
2年以上に渡りほぼ完全に停止していたインバウンド。再開によって中国からの観光客にもちろんは大きな期待がかかりましたが、残念ながら中国に関しては大きな動きはありませんでした。これは中国のゼロコロナ政策が原因です。現段階では2023年の春までは解除は厳しいようです。できれば春節(中国の旧正月)までには、と願わずにはいられませんが難しそうです。
ただ一方で、良い面もあります。それは受け入れ態勢の準備ができるということです。日本のインバウンドは2年以上ストップしていました。その間に業界全体で人材や設備などに不備が発生しています。もし中国からの訪日外国人が韓国や台湾と同じタイミングで日本を大挙して訪れたら、大きく混乱した可能性が充分にありました。中国からの訪日外国人がメインの地域にとっては大きな痛手ですが、インバウンド需要をこぼすことなく利益にできるのは確実に成長へ繋がります。
中国のゼロコロナ政策による、中国からの訪日外国人がすぐには期待できないのは非常に残念ですが、2023年には確実に解禁となるでしょう。そしてインバウンド需要は加速度的に回復し、2024年の年末にはほぼコロナ前の水準にまで戻ると予測されています。そのなかで中国からの訪日外国人は間違いなく大きなカギとなります。そう考えると、残された時間は多くはありません。このタイミングのズレは結果的にインバンド需要をうまく取り込む良い機会となりました。ぜひとも積極的に活かしていきたいです。