コロナ後のインバウンドの現状と回復スケジュール

コロナが発生し世界的に流行するまで、日本のインバウンドは非常に好調でした。影響を受ける直前の2019年では、訪日外国人は3188万2000人にのぼり、消費額では4兆8,135億円にまで達しました。この大きなマーケットは一層の拡大が見込まれていて、成長産業が限られている日本において、非常に有望な産業として国を始めとして団体や企業、個人事業主までが積極的に取り組んでいました。しかしコロナの影響により、インバウンド市場は実質的にゼロとなりました。その結果、多くの宿泊業や飲食業が廃業することになり、生き延びることができても苦しい経営が続くことになりました。

しかし2022年、いつまで続くか分からなかった水際対策が段階的に緩和され始め、10月にはほぼ全面的に解禁となりました。この決定にインバウンドのターゲットとなる東アジアや東南アジアの国々は即座に反応し、インターネットでの検索数が飛躍的に伸び、旅行予約も急増しました。

ただ、問題点もります。まずは飛行機の問題です。日本をはじめとして世界の多くの国が入国制限を行っていました。その結果、多くのフライトが減便または路線廃止となってしまったのです。つまり、需要はあっても飛行機の座席数というキャパが不足しているのです。水際対策の緩和の発表後、飛行会社は積極的に増便や航路の新規開設を行っていますが、すぐにコロナ前の基準に戻すとことはできないので、回復にはもう少し時間が必要でしょう。

また、中国の問題があります。中国からの訪日外国人は、日本のインバウンドにとって最大のお客様であり、2019年には約960万人が訪れ、1兆7,700億円を消費しました。その中国は今でも(2022年10月現在)、ゼロコロナ政策を継続中です。そのため、コロナ以前の勢いを取り戻すにはまだ難しい状況です。

回復までの具体的なスケジュール
10月に水際対策の緩和が発表されてから、日本へのフライト予約はアジアを中心に大きく増加しました。インバウンド回復の予想されるスケジュールとしては、11月から動き始め、年末年始にはある程度の勢いがついてくるでしょう。2023年に入ると、春節(中国の旧正月。2023年は1月21日~2023年1月27日)は中国のゼロコロナ政策が継続されている可能性が高いため大きな期待はできませんが、3月~4月のお花見の時期にはインバウンド需要の回復が実感できそうです。そして、7月からの夏休み・バカンスシーズンには本格的なインバウンド需要の回復が期待できるでしょう。

水際対策の大きな緩和が実施され、動き出したインバウンド。再開と回復の道筋が見えてきました。コロナで大きなダメージを受けましたが、これからしっかりと取り戻して飛躍する機会が訪れようとしています。